専務に仕事をさせるには

「瀬戸さん、あなた凄い資格を持っているのね?」

社長は書類に目を通しながら話をする。

社長が持っている書類は多分私の履歴書だろう。


「瀬戸さん、明日から専務秘書を命じます」


「は?」


なんで私が専務の秘書?

そりゃー持っている資格を活かせるのは嬉しい。

でも、なぜいきなり専務の秘書??


「要の身の回りを綺麗にして、要が生涯のパートナーを見つけられる様に、そして私の後を継ぐ気持ちになる様に教育して頂戴!」


はぁ??

私が専務の身の回りを綺麗する!!!!!?????

後継者へと教育!!!!!?????

それって秘書の仕事なの!!!???

私なんかがあの専務を教育するなんてそんなの無理に決まってるじゃん!!!


「教育だなんてそんなの無理です!!」


「そうかしら? 要はあなたの言う事を聞いたじゃない?」


「聞いたって…」


それは食事に行くと言う条件で…

私の言うことを聞いたと言うのとはちょっと違う。


「本来ならあなたは懲戒免職になっても可笑しくない立場です。 それを踏まえてもう一度返事をしなさい!」


いつも労いの言葉を掛けてくれる優しい微笑みは今の社長には無い。

まるで狙った獲物を追い詰める様なこの威圧感、専務と社長はやっぱり親子だわ…


「分かりました… やって見ます…」


「そう? 有難う」


社長は私の返事を聞いて満足したのかいつもの社長に戻って微笑む。

私は大きな溜息と共に社長室を後にした。





< 29 / 216 >

この作品をシェア

pagetop