専務に仕事をさせるには

「ふーん。 でも連絡先くらい聞いていたほうが良くない? 君だってもしもの時は困るだろ?」 


「もしもの時?」


首を傾げる私に彼はとんでもない事を言った。


「そう。妊娠でもしたら今の仕事続けれないでしょ? 安全日でも万が一って事も有るだろ?」


今の仕事?

私、自分の仕事の事話したのかな?

名前は? どこまで話したんだろう?

そんな事より妊娠って…


「えーとそれは避妊具を付けなかったと言うことでしょうか?」


「早くって急かすからさ? 君がピルを飲んでるならいいけど?」


ピルなんて飲んでいない…

一時期飲んた事が有るけど頭痛がして私には合わなかった。

それよりも体型の変化が著しく、常に体型を維持しなくてはいけない下着モデルの私はそれ以来ピルは飲んでいない。


「えっ!? 急かされたからって、普通付けるでしょう!? 見ず知らずの女とするなら色んな危険があるでしょ? 妊娠は勿論! 悪い病気持っていたらどうするの!?」


酔って迫ったかもしれない私が言えた立場ではないけど…


「え? 君は悪い病気もってるの?」


「私は何も持ってません! 至って健康です!!」


「そう良かった!」と言って彼は名刺を私に差し出した。


「まあ何かあったら連絡してよ?」


名刺には

【株式会社 麗美堂  専務取締役 久隆 要】

と書いてある。


嘘でしょ?…




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