専務に仕事をさせるには

私は電話を一本かけ、鶴見室長が部屋を出て行ったことを確認して専務のプライベートルームを出る。


「起きたか?」


「すいません…」


「いや、俺が無理をさせた。 ところでリンリンに頼みたい事がある」


「何でしょう?」

私は眉間にシワを寄せて聞く。


「フッ… そんな顔をするな? 今日はもう抱かせろとは言わないから、でもリンリンが抱いてくれと言えば話は別だが?」


絶対に言いません!と言うと専務は残念と笑う。


「で、私に仕事とは?」


「悪いけど、会社の近くにマンションを探して欲しい。」


「マンションですか?」


「ああ、俺も本気で動く事にした。」


「それはこの会社を継ぐと言うことですか?」


「まぁ覚悟を決めたと言う事だな? 会長の体調も良く無いし、時間も限られる。」


室長も、もう時間が無いと言っていた。

ひょっとして会長の体は…


「向こうにも戻らないと正式に返事をした。」


「あちらは納得されたんですか? ずっと専務を待っていてくれたのに?」


「2年も待っていてくれたが、こうなっては戻る事も出来ない。ボスにもこちらで結婚して会社を継ぐつもりだと言ったら納得したよ! まぁ2年も帰らなきゃ分かっていただろうがな?」


結婚する気になったんだ…

良かった…

後はお見合いでもするのかな?…


「お袋もひとりだからいつかは老後の事も考えてやらないといけないが、今は二人だけの時間を過ごしたい。それで仕事の事も考えて近い方が良いと思うんだけど、リンリンどう思う?」 


それを私に聞くんですか?…






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