レジーナ フィオリトゥーラ
容赦なく、吹き付ける北風に思わず、身をすくめた。

マントを着ているルカに引きかえ、私は、薄手のワンピース一枚だ。

さっきまでは、広間が暖かかったから、気が付かなかったけれど、どうやらこちらの世界は、冬らしい。

もしくは、寒い地方?

「お前の唇が、紫色だぞ。」

私の様子に気が付いたルカは、私の手を引いて、城の中に戻った。

誰もいない一室に入ったルカは、奥にある暖炉に火をつけた。

パチパチという音と共に、暗い部屋にほんのりと明かりが灯る。

ドアの鍵を閉めたルカが、暖炉の前に座り込んでいる私の隣に腰を下ろした。

「聞きたいことが、たくさんあるの。ここは、どんな世界なの?ルカ、あなたは、何をしている人なの?ハリネズミと人間、どちらが本当の姿なの?どうして、二つの姿を持っているの?この世界では、それが、普通なの?」

まずは、頭の中に次々と思い浮かぶ質問とルカにぶつけた。

「まいったな。何から話そう。」

短い沈黙の後、ルカは、困惑したように頭を掻いた。

「とりあえず、この世界についてだけど、質問をもう少し具体的にしてくれない?」

ルカのいうことは、もっともである。

抽象的すぎた。

私だって、元の世界のことをどんな世界って聞かれたらなんて説明すれば、いいのか分からない。

ルカは、私の世界を何も知らないわけだし、比較できない以上当たり前のことだ。
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