レジーナ フィオリトゥーラ
第二章:帝都へ
懐かしい夢を見た。
懐かしくて切ない夢。
「泣かないで、菜摘。見る目がない奴らの言う事なんか、気にするなよ。菜摘は、可愛いよ。自分じゃ気が付いていないかもしれないけれど、本当はすごく可愛いんだよ。その証拠におばさんもおじさんも果林も、菜摘のことが大好きじゃないか。」
ふてくされた私を迎えに来るのは、いつも決まって柊君の役目だった。
小さい頃、美人のお姉ちゃんと比べられるのが、悲しくて、よく家出をした。
その悲しみは、次第にあきらめに変わっていったけれど、幼い私は、友達の無邪気で心無い一言にひどく傷ついていた。
もちろん、家出といっても、近所の瓢箪寺に行って柿の木の下でしゃがみ、地面に絵を描いているだけだったけれど。
そこにいれば、柊君は必ず私を迎えに来てくれた。
「柊君も私が、好き?」
「もちろん。菜摘の描く絵も好きだよ。」
そう言って、柊君は、私の絵の横に花丸を加える。
「果林は、頭も運動神経もいいけれど、絵は、下手くそだからなあ。」
そう言って、私の頭を撫でてくれる柊君のことが好きだと気が付いた時には、もう全部遅かった。
懐かしくて切ない夢。
「泣かないで、菜摘。見る目がない奴らの言う事なんか、気にするなよ。菜摘は、可愛いよ。自分じゃ気が付いていないかもしれないけれど、本当はすごく可愛いんだよ。その証拠におばさんもおじさんも果林も、菜摘のことが大好きじゃないか。」
ふてくされた私を迎えに来るのは、いつも決まって柊君の役目だった。
小さい頃、美人のお姉ちゃんと比べられるのが、悲しくて、よく家出をした。
その悲しみは、次第にあきらめに変わっていったけれど、幼い私は、友達の無邪気で心無い一言にひどく傷ついていた。
もちろん、家出といっても、近所の瓢箪寺に行って柿の木の下でしゃがみ、地面に絵を描いているだけだったけれど。
そこにいれば、柊君は必ず私を迎えに来てくれた。
「柊君も私が、好き?」
「もちろん。菜摘の描く絵も好きだよ。」
そう言って、柊君は、私の絵の横に花丸を加える。
「果林は、頭も運動神経もいいけれど、絵は、下手くそだからなあ。」
そう言って、私の頭を撫でてくれる柊君のことが好きだと気が付いた時には、もう全部遅かった。