レジーナ フィオリトゥーラ
「知性はなし。はっきり言って、頭は良さそうじゃないな。美貌・・全く望みなし。顔は、十人並みだし、何よりこんなころころ太ってちゃまずいだろう。愛する心・・望みがあるのは、これくらいだな。期待できそうもないけれど。」

ルカのあんまりな言葉に頭にカーっと血が上るのが、分かった。

「ちょっと、黙って聞いていれば、何よ。失礼なことばっかり言って!」

「短気なのか。これじゃあ、全部アウトだな。」

ルカは、がっかりしたように肩をすくめた。

「何の話よ?」

「いや、こっちの話。別に気にしないでくれ。まあ、泣き虫ってだけでも価値ありかな。」

独り言のように呟いたルカは、今度は、いきなり私の方に向き直った。

「ナツは、元の世界に帰りたいか?」

「もちろん。」

「じゃあ、俺と一緒に来い。必ず、元の世界に帰すと約束するよ。」

ルカの真剣な眼差しのせいか必ずという言葉のせいか。

思わず、頷いてしまったことを私は後々何度も後悔することになる。
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