あの頃、きみと陽だまりで
11.3 years later




【新太へ



久しぶりだね。

元気?私は、元気だよ。

早いもので、あれからもう3年が経とうとしてるね。私もついに、新太と同じ20歳になったよ。



私はあれから、通っていた高校を辞めて、通信制の高校に通い始めたんだ。

学校へ行くのは怖かったけど、少しずつ慣れて友達も出来て、無事卒業することができたよ。

その間お父さんお母さんとも、いろんなところに出かけたりして。たくさんの時間を過ごしながら、本当の意味で家族になれていると思う。



今はね、大学で福祉に関しての勉強をしてるんだ。

新太のような、誰かのためになれる仕事はなんだろうって考えた時、介護や医療の現場で、人の命に寄り添いながら生きていきたいと思ったから。

だから今は、勉強で毎日手一杯。



あ、そうそう。トラはうちで暮らしてるんだよ。

新太のお母さんが、『あなたに懐いているようだから』って託してくれたの。



あれから、新太の家にも何度かお邪魔させてもらっててね。新太のお父さんお母さんとも、沢山話をしたよ。

お父さんも最初はちょっとぎこちなかったんだけど、新太の子供の頃の話をして、笑顔を見せてくれた時もあって。

今でもみんなの心の中に、新太がいるって感じるよ。



ねぇ、今頃新太はそっちでおじいちゃんと一緒にいられてるかな。

いつか私がそっちに行くまで、変わらない笑顔でいてね。

その日まで私も、胸を張って生きていくから】



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