あの頃、きみと陽だまりで



「っ……」



噴き出す汗

回る視界

一気にゆがみだす世界に、逃げ出すようにその場を駆けだした。



いやだ

こわい

つらい

くるしい



消えない記憶が浮かぶたび、真っ黒な感情が波のように押し寄せる。

叫びたくなる衝動を抑え、無我夢中で細い道を抜け、坂道を駆けおりた。



そこにはちょうど小さな踏切があり、カンカンカン……と鳴り出す音とともに、遮断機が下り始めていた。



遠くから、電車の音が聞こえる。

オレンジ色の空

肌を伝う汗

すべてが、あの日と重なる



「……っ……」



ドク、ドク、ドク、と自分の心臓の音を聞きながら地面を蹴り、一歩、また一歩と近付く足。

それはこの先に、“ラクになれる世界”があると知っているかのように。



くるしい

こわい

この世界から連れ出して





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