この広い世界で、2度目の初恋を


「あのっ!!」

「いいから、見ろって!」

小声で文句を言おうとしたら、小声で宇佐見くんに言葉を遮られる。

私は渋々消しゴムを見つめる。

すると、そこには……

『1+1は?』

「………………」

写真とかで、2……『に~』と言って笑わせるアレだ。

何で笑わせたいのか、意味不明だよ。

どうしよう、くだらなすぎて、何も言えない。

言葉を失うって、こういう事を言うんだと思う。

私は消しゴムになんの面白みもなく『2』と書いて、返した。

「…おい、そこは"に~"だろ」

「…………」

「なぁ、聞いてんのか?オーイ」

ちょっと……。

宇佐見くんって、クールなキャラじゃないの??

すごく……すっごーーく面倒くさいんだけど!!

心の中で叫びながら、私は平然を装ってひたすらに黒板を見つめ続けたのだった。


ーキーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、授業が終わる。


すると、すかさず宇佐見くんがこっちに体を向けて「おい」と声をかけてきた。



< 10 / 300 >

この作品をシェア

pagetop