この広い世界で、2度目の初恋を
「七海のヒーローか……それ、俺だけの特権にしろよ?」
「………え?」
それってどういう意味?
勘違いしたら、まるで私のことが好きみたいに聞こえる…。
なんて……そんなわけないけど。
「樹くんくらいだよ……私なんかに、わざわざ関わろうとする人」
「おいコラ、自分を"なんか"とか言うな。俺の大事なやつを卑下すんのは、お前自身でも怒るぞ」
「だ、大事って……」
「あ………。こ、言葉のあやだ……。と、友達だろ?そう……だよな……?」
焦ったように照れながら、頭をガシガシと掻く樹くん。
気のせいかな…。
まるで自分に言い聞かせるみたいに聞こえた。
「そ、そうだよね!びっくりしたよ……」
それにしても友達……か。
ううん、不満があるわけじゃないの。
ただ……なんでこんなに胸が切ないんだろう。
友達なんて、嬉しいはずなのに……。
「この後どうする、お土産でも見るか?」
「あ、うん!!」
樹くんの提案に賛成すると、丁度いいタイミングで、七星が目を覚ます。