この広い世界で、2度目の初恋を


「七海のヒーローか……それ、俺だけの特権にしろよ?」

「………え?」

それってどういう意味?

勘違いしたら、まるで私のことが好きみたいに聞こえる…。

なんて……そんなわけないけど。


「樹くんくらいだよ……私なんかに、わざわざ関わろうとする人」

「おいコラ、自分を"なんか"とか言うな。俺の大事なやつを卑下すんのは、お前自身でも怒るぞ」

「だ、大事って……」

「あ………。こ、言葉のあやだ……。と、友達だろ?そう……だよな……?」

焦ったように照れながら、頭をガシガシと掻く樹くん。

気のせいかな…。

まるで自分に言い聞かせるみたいに聞こえた。


「そ、そうだよね!びっくりしたよ……」


それにしても友達……か。

ううん、不満があるわけじゃないの。

ただ……なんでこんなに胸が切ないんだろう。

友達なんて、嬉しいはずなのに……。


「この後どうする、お土産でも見るか?」

「あ、うん!!」

樹くんの提案に賛成すると、丁度いいタイミングで、七星が目を覚ます。





< 104 / 300 >

この作品をシェア

pagetop