この広い世界で、2度目の初恋を


「わり、待たせたな。ほれ」

そう言って、袋からヒョウザメの人形を出すと、七星に手渡す。

「ありがとう、樹お兄ちゃん!!」

すると七星は大喜びで人形を抱きしめた。


「七海はこれな」

「え、私??」

首を傾げていると、樹くんは笑いながら、袋の中をガサガサと漁る。

そして、取り出したのは、オレンジ色に独特のシマを持つ、カクレクマノミの人形。


「カクレクマノミ!!」


樹くんから受け取ったカクレクマノミの人形はとても愛らしい顔をしている。


「これ見たら、 真っ先にお前の顔が浮かんでさ。俺とお揃いで買っちまった」

「樹くんとおそろい??」

樹くんは、同じカクレクマノミの人形を私に見せた。

ほんとだお揃いだ!!

「これ見て、お前の笑った顔思い出すことにする」

「え、えぇっ!!」

人形を買った理由に私は驚きの声を上げる。

でも私もきっとこの人形を見るたびに樹くんの笑顔を思い出すんだろうな…。



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