この広い世界で、2度目の初恋を


「ありがとう、樹くん。一生大事にする」

「大げさだな」

「だって、嬉しかったから……」

大げさなんかじゃない。

樹くんとの大事な思い出だから。

私は、人形を胸にギュッと抱いた。


「それならプレゼントしたかいがあるって事だ」

「ありがとう、樹くん!」

「どういたしまして」


和やかな空気のまま、私たちは帰路につく。

夕暮れの中、3人の影が集まって、一つになっていた。


「すぅ……」

「ごめんね、樹くん。七星の事、おぶってもらっちゃって…」


樹くんの背中で、寝息を立てる七星は、途中で疲れ果てて、寝てしまったのだ。
  
そんな七星を樹君がおんぶして歩いてくれる。


「こんなん、おぶってるうちに入んねーから、気にすんな」

「ありがとう、なにからなにまで…」

「七海、そんな恐縮すんなって。俺ら、もうそんな仲じゃないだろ?」


そんな仲……。

友達ってことだよね??

それは、すごく嬉しいことなのに、やっぱり引っかかる。

今日だけじゃない、ここ最近はいつも感じてた…。

もしかして、私……。



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