この広い世界で、2度目の初恋を


「七海、聞いてるか?」

「あっ、う、うん!ボーッとしてごめんね!!」


黙り込む私を不思議に思ってか、樹くんが私の顔をのぞき込んでくる。

トクンッ……。

あ……ほら、まただ……。

この胸の明らかな高鳴り、熱くなる体……。

この感情って、もしかしなくても……恋だ。


「七海って、よくボーッとしてるよな」

「え??」

「教室でもよく窓の外見てボーッとしてる」


ニヤッといたずらに笑って私を見つめる樹くん。

からかうようなその言い方にさえ、こんなに胸がドキドキするのだ。

「あれは、桜が綺麗だったから……」

「あぁ、桜見てたのか…って、プッ、それでも授業中だろ」


あ……樹くんが笑ってる。

太陽みたいに笑う、この笑顔が好き……。

ククッと笑う樹くんに、私はやっぱり自覚する。

私……樹くんが好きなんだ。

恋してしまった……絶対に叶う見込みのない恋を。

だって、樹くんには、忘れられない初恋の人とがいる。

その人の思い出に比べたら、つい最近知り合った私じゃ…。

それ以前に、いじめられてる地味な私じゃ望みも薄いどころか、無い。



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