この広い世界で、2度目の初恋を


「七海、今度は桜じゃなくて俺と話そうぜ。授業中、すっげー暇だから」

「授業中なのに?」

「小声ですれば問題ないだろ。もっと七海と話してーの」


え……。

わぁ、私ともっと話したいとか…もう心臓もたない。

樹くんにその気がなくても、私は恋愛経験豊富なわけじゃない。

やっぱり翻弄されてしまう…。

叶わなくても、好きでいてもいいよね?

絶対に言葉にしない、この胸の中に隠すから…。

「うん、私も話したい」

「っ……そうか、なら決まりな」


一瞬、驚きに目を見張った樹くんが、すぐに嬉しそうに顔をほころばせる。

それに、やっぱり樹くんが好きなんだって、思い知らされた。

もう恋なんてしないって思ってた…。

なのに、いつのまにかこの胸の中にあなたがいて、その存在がどんどん大きくなっていた。



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