この広い世界で、2度目の初恋を
「七海って……ビッ…チじゃなかった、添田!?」
「亮ちゃん、今なんつった……?」
「ごめ、マジで間違えた!!ごめん、許して樹!!」
声のトーンが下がった樹くんに、亮くんは慌てながら両手を合わせて謝る。
「謝る相手間違えてんだよ、お前」
「い、樹くん…私は大丈夫、慣れてるから…」
「んな事に慣れんな!!」
樹くんは本気で怒りながら、私の頭をコツンッと小突く。
そんな樹くんを、怖いとは思わなかった。
むしろ、私のために怒ってくれた事が嬉しい。
「ごめん、添田!!」
「えっ……??」
すると、亮くんから頭を下げられる。
まさか、謝られるとは思ってなくて、私は驚いてしまった。
「添田が良い奴だって、樹が言っててさ。コイツあんまり女の事、そんな風に誉めねーから、びっくりしてたんだ!」
「樹くん……ありがとう」
私が樹くんを見ると、樹くんは恥ずかしそうにそっぽを向いてしまった。
「別に、本当の事言っただけだし」
「うん…ありがとう。それが、すごく嬉しい」
「っ……そうかよ」
そっけない言い方だけど、ちゃんと伝わる。
樹くんの優しさが、傷ついた心の傷に染み込んで、癒やしていくような感じだった。