この広い世界で、2度目の初恋を
「ねぇねぇ、早く体育館行こうよー!!」
「ちょ、俺はそれどころじゃねーんだよ」
「もー、始まっちゃうよ?」
樹くんは私の方をすがるように見てくる。
まるで、行くなと言われているみたいで、胸がキュッと締めつけられた。
「ふふ……」
すると、私に気づいた三枝さんが、馬鹿にしたように笑った。
「っ………」
三枝さん……。
三枝さんも沖田先生も、樹くんも……。
私とは違う、同じ世界にすらいないんだ。
あの人達からすれば、私は馬鹿でビッチで、イジメの対象でしかない。
私は、そっと樹くんたちから視線を反らして、背を向ける。
「七海!!」
「っ……さよなら、樹くん……」
私は、そこから逃げるように駆け出した。
裏切られたのに、もう二度と樹くんと話せなくなると思うと、やっぱり悲しいなんて…。
つくづく私は、馬鹿だと思った。