この広い世界で、2度目の初恋を


「ねぇねぇ、早く体育館行こうよー!!」

「ちょ、俺はそれどころじゃねーんだよ」

「もー、始まっちゃうよ?」


樹くんは私の方をすがるように見てくる。

まるで、行くなと言われているみたいで、胸がキュッと締めつけられた。


「ふふ……」

すると、私に気づいた三枝さんが、馬鹿にしたように笑った。

「っ………」


三枝さん……。

三枝さんも沖田先生も、樹くんも……。

私とは違う、同じ世界にすらいないんだ。

あの人達からすれば、私は馬鹿でビッチで、イジメの対象でしかない。

私は、そっと樹くんたちから視線を反らして、背を向ける。


「七海!!」

「っ……さよなら、樹くん……」


私は、そこから逃げるように駆け出した。

裏切られたのに、もう二度と樹くんと話せなくなると思うと、やっぱり悲しいなんて…。

つくづく私は、馬鹿だと思った。


< 126 / 300 >

この作品をシェア

pagetop