この広い世界で、2度目の初恋を


ーカラカラカラカラ!!

私は、あの場から逃げ出してすぐに、保健室の扉を開け放った。

「おや、添田さん?」

「鈴原……先生……」

柔らかく微笑む先生の顔を見たら、一気に気が緩んでしまった。

そして、ポロポロと止めどなく涙が溢れては、頬を伝って落ちていく。

それを見た鈴原先生は、一瞬目を見張ってすぐに、私の手を引いて、保健室の椅子へと座らせてくれた。


「何か、あったのかな?」

「………先生、私って…どうしてこんなに馬鹿なんだろう…」

「何か、後悔……してる?」


私の言葉の真意を尋ねるかのように、首を傾げる先生。


「信じたことを……後悔してます。私、何度も裏切られてきたはずなのに、懲りないで何度も何度も…誰かを信じちゃうんです」

傷つくってわかってるのに、どうしてこの人だけは……なんて、淡い期待を持ってしまうんだろう。


「……それは、信じたいと思えるような何かが、あったからじゃないのかな。例えば、恋とか愛とか……ね」

「………はい…」

樹くんへの気持ちも、沖田先生への気持ちもそうだった。

恋は盲目と言うけれど、ここまで騙されても信じてしまう。



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