この広い世界で、2度目の初恋を


「それを、添田さんは後悔してるのかな?」

「……こんなに痛いなら、知らないほうが良かったです…」


そう思うんだから、私…樹くんの事を好きになったこと、後悔してるんだよね?

なのに、なのに……消えない。

樹くんを好きだって気持ちを、消せない。


「本当にそうかな。彼はそんな風に人を騙すようには思えなかったけどね」


私だって、そう思って信じてた。

だけど、実際はゲームで私に近づいたんだよ。


「でも、ちゃんと樹くんの口から聞きました」

「…なら理由はちゃんと聞いたかい?」

「理由……?」


理由なんて、私をネタにして笑うために決まってる。


「本当に、彼がそんな事をする人だって思ってる?違うと思ったから、そんなに傷ついてるんじゃないのかい?」

「それは……」


確かに、樹くんは私の弟の七星にも優しくしてくれたり、なにより私が辛い時に助けてくれた。


だけど……もう嫌なんだ。

あの時、沖田先生の時みたいに傷つくのは……。

傷つきたくないから、もう信じないって決めた。

大切なモノは作らない、恋なんて二度としないって。



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