この広い世界で、2度目の初恋を
Chapter3

信じさせてみせるから



「はぁ……」

どんよりとした重い気持ちのまま、学校までの道のりを歩く。

いつもならなんて事ない距離が、より遠く感じた。

それはきっと、普段より歩くスピードが断然遅いせい。

樹くんと、どんな顔で会ったらいいの……。

あの日の、保健室での出来事を思い出す。

保健室で横になっていた私は…。

ーカラカラカラ!!

勢い良く扉が開く音で飛び起きた。


『失礼します!』

『やぁ、宇佐美くんじゃないか』


えっ!!

うそ、樹くんが保健室に!?

今はどんな顔して会えばいいのか分からないし、正直……会いたくない、辛いから…。

ここが、カーテンで覆われてて良かった。

ここは私さえ静かにしてれば、樹くんからは見えない。


『添田さんを探しに来たのかい?』

『あ……やっぱ、アイツここに来たんすか?』

や、やだ!!

鈴原先生、ここに私がいるって、絶対に言わないで!!

心の中で鈴原先生に念を送る。


『まぁまぁ、そこに座って』


鈴原先生は、何を考えているのか、ここに私がいるのに、樹くんを椅子に座るように促したみたいだ。



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