この広い世界で、2度目の初恋を


『添田さんは、すごく泣いていたよ』

『っ!!』

鈴原先生の言葉に、樹くんが息を呑んだのが分かった。


『俺が……もっと早くゲームのこと、話せばよかったんだ』

『ゲーム?』

ゲーム……。

結局、私に近づいたのも、そのゲームがあったから。


私は、樹くんと隣の席に慣れて、こうして傍にいられたのには意味があるんだって思ってた。


『あぁ。じゃんけんに負けたら添田 七海を笑わせるっていう罰ゲーム。クラスの連中に無理やり参加させられて、何か言われんのが面倒だから、負けた俺は罰ゲームをやった』


でも、勝手な私の思い込みだったのかも…。

案の定、私は乗せられてどんどん樹くんに心を許してしまったから。


『それで、添田さんを笑いものにした?』

『んなわけねーだろ!!』


え……?

樹くんが、真っ先に否定した。
 
でも、裏で私のことをネタにして笑ったんじゃないの?


『話してみたら面白いヤツだなって思った。最初は興味本位で、今は……』

『今は……?』

なんとなく、聞くのが怖いな…。

その先の言葉が、私を突き放す言葉だったら……。

なんて、私から突き放したくせに、私……離れたくないって思ってる?


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