この広い世界で、2度目の初恋を


「コイツの事、もう自由にしろよ!!傷つけんな!!」


「何を言ってるんです?添田さんは自ら望んで…」


「コイツのこの顔見ても、そう思うのか?こんな、泣きそうな顔してんのに、それも分からねぇのかよ!!」


そう……なんだ。

私、そんなに泣きそうな顔してるんだ。

でも、それは宇佐美くんの顔を見たからかもしれない。

ホッとしてしまったから、気が緩んで…。


「私と添田さんの問題ですよ、首を突っ込むのは止めて下さい」

「無理だ、七海は俺の大事な……っ」


そこまで言いかけた宇佐美くんは、一瞬言葉を詰まらせる。

そして、小さく深呼吸をすると、ゆっくりと口を開いた。


「……大事な人だからだ」

「え……?」


宇佐美くん……?

大事な人って、どういう意味?

信じられない気持ちで、宇佐美くんを振り向こうとした。

でも、すぐに後ろから抱きしめる腕に力がこもって、見動きが出来なくなる。


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