この広い世界で、2度目の初恋を


ーカラカラカラ…

「鈴原先生」

「やぁ、添田さん……と、急病人かな?」

鈴原先生が駆け寄ってきて、男子の体を支える。

そして、ベッドに横にさせた。


「お腹が痛いみたいで、廊下にうずくまってました」


鈴原先生に説明をすると、先生は頷く。


「そう、お腹が痛いのはいつから?」

「今朝…。俺、緊張するといつもこーなんスよ」

「あぁ、精神的なものだね」


鈴原先生は湯たんぽを持って、男子のお腹に当てる。

私は、足元に追いやられた布団をかけてあげる。


「あの……俺、一年の舵 瑞貴(かじ みずき)って言います。先輩っすよね、俺名前知らなくって……」

「舵くん、一年生だったんだね。私は……」


答えようとして、口を開いた瞬間……。

ーガラガラガラッ!!

勢い良く扉が開け放たれた。

反射的に扉を振り返ると、いそこには息を切らした樹くんがいる。


< 177 / 300 >

この作品をシェア

pagetop