この広い世界で、2度目の初恋を
ーカラカラカラ…
「鈴原先生」
「やぁ、添田さん……と、急病人かな?」
鈴原先生が駆け寄ってきて、男子の体を支える。
そして、ベッドに横にさせた。
「お腹が痛いみたいで、廊下にうずくまってました」
鈴原先生に説明をすると、先生は頷く。
「そう、お腹が痛いのはいつから?」
「今朝…。俺、緊張するといつもこーなんスよ」
「あぁ、精神的なものだね」
鈴原先生は湯たんぽを持って、男子のお腹に当てる。
私は、足元に追いやられた布団をかけてあげる。
「あの……俺、一年の舵 瑞貴(かじ みずき)って言います。先輩っすよね、俺名前知らなくって……」
「舵くん、一年生だったんだね。私は……」
答えようとして、口を開いた瞬間……。
ーガラガラガラッ!!
勢い良く扉が開け放たれた。
反射的に扉を振り返ると、いそこには息を切らした樹くんがいる。