この広い世界で、2度目の初恋を
「ただいまー」
「おかえり〜っ!!」
ローファーを脱いで、家に上がると、バタバタと駆け寄ってくる6歳の弟。
添田 七星(そえだ ななせ)、私の可愛い弟だ。
「ただいま、七星」
「今日ね、僕ね、駆けっこ1番だったよ!!」
ギュウウッと腰に抱きついてくる七星を、抱きしめ返す。
七星は、いつまでこうしてお姉ちゃんに懐いてくれるかな…なんて、少し寂しくなる。
「七星は足が早いんだね、すごいね??」
「へへ〜っ」
嬉しそうに笑う七星の頭を撫でて、リビングへと行くと、お母さんとお父さんがいた。
「おかえりなさい、七海。手洗って、ご飯にしましょう」
「うん、今日のご飯なに??」
「ブリの照り焼きと、煮物とお味噌汁よ」
お母さん……添田 静子(そえだ しずこ)は、今年で41歳になる。
「お父さん、帰ってくるの早かったね」
「あぁ、今日は早番の日だからな。17時には家に着いたぞ」
お父さん、添田 和人(そえだ かずと)は43歳で、鉄道の整備員をやっている。
普段は夜に帰ってくるんだけど、今日は早番だったらしく、もう帰ってきていた。