この広い世界で、2度目の初恋を
「じゃあ、いただきましょうか」
お母さんの一声で、みんな食卓を囲む。
「「「いただきます」」」
「はい、召し上がれ」
お母さんの作ったご飯はすごく美味しい。
ホッとするような、家庭の味付けなんだよね。
そう、私が唯一肩の力を抜けるのは、我が家だけ。
家族だけが、私の落ち着ける場所だった。
ブリの照り焼きを口に放り込みながら、私は今日のことを考える。
宇佐見 樹……。
やけに声をかけてくる、私の中では問題児。
どうしよう、明日から……。
「どうしたんだ、七海。考え事か?」
「あっ、ううん……何でもないよ」
考え込みすぎて、手が止まってしまった私に、お父さんが心配そうに声をかけてきた。
いけない、心配かけちゃった。
学校でのイジメのことは、家族には話してない。
噂の事聞いたら、きっと心配かけちゃうから…。
あと2年の辛抱だ、頑張らなきゃ……。