この広い世界で、2度目の初恋を


「探させちゃってごめんね」

「謝んな、お前の心配すんのも、俺の特権だから」


そう言って、なぜか樹くんは舵くんをチラリと見る。

そんな樹くんに、舵くんはため息をついた。


「そんじゃあ、俺はここで」

「舵くん、ありがとうね」


背を向けて歩きだろうとする舵くんにそう、声をかけた。

すると、舵くんは私を振り返る。


「俺の方こそ、助けてくれて、ありがとうございます」


ペコリと頭を下げて去っていく舵くんを見送ると、グイッと後ろから抱き寄せられた。


「えっ……」

「んじゃあ、帰んぞ」


私を抱きしめながら、グググッと引きずられる。

え、え!?

その状況に困惑しながら、もつれそうになる足で必死についていく。

なんか、最近の樹くんは……ボディータッチが多い気がする。






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