この広い世界で、2度目の初恋を
「添田が可哀想だろ、離してやれって!」
「………しょうがねぇ」
亮くんに言われて渋々私を開放する樹くん。
亮くん…か、感謝します。
このままじゃあ、心臓が爆発するのが先か、すっ転ぶのが先かの瀬戸際だった……。
ホッとして樹くんを見上げると、ムッとした顔の樹くんと目が合う。
「樹くん、様子が変だよ」
「変にもなる。七海が……他の男と仲良くしてんだから…」
「え??」
語尾がボソボソと小さくなって、聞き取れない。
聞き返すと、樹くんはフイッと私から視線をそらした。
「聞き返すな、馬鹿」
「ば、馬鹿……」
ーガーン。
それは無いよ、樹くん……。
情緒不安定な樹くんに振り回されてるなぁと思う。