この広い世界で、2度目の初恋を


そして、水泡が消えると、太陽を背にこちらへ手を伸ばす誰かがいた。

あ……誰……??

私は、ほとんど無意識に手を伸ばすと、その手を力強く引っ張られる。


そして、重力に逆らうように、体が空へと引き上げられた。


ーーーバシャァァンッ!!


「ぶはぁぁっ!!」

水面から顔を出した瞬間、肺いっぱいに息を吸い込む。

し、死ぬかと思った……。

浅瀬まで来て、ホッとしていると、ふと手が温かい事に気づく。

「あ……」

改めて、私の手が誰かに掴まれたままなのに気づいた。

ゆっくりと顔を上げると…。

「あ、あっぶねーじゃん!!」

「あ……」

綺麗な黒髪に、すんだ瞳の男の子がいた。

私は、その男の子の綺麗な顔に、一瞬にして目を奪われる。


「死ぬところだったんだぞ!!」

私と同じくらいの男の子は、頬を膨らませて怒っていた。

「あなたが……助けてくれたの?」

私は、私と同じように川の中で見つめ合う男の子に尋ねる。


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