この広い世界で、2度目の初恋を


「でも、そのペンダントがなくなっちゃって……。好きだった人も、大切な人が出来ちゃったの。ハハッ、ダブルパンチだよね……」


「……辛かったっスね……」


「………うん……わりと」


素直に、辛かったって言えないのは……。

認めてしまうのが怖いから。

認めたら……やっぱり樹くんと結ばれない現実に、死んだしまいそうになる。


「だから、せめてペンダントは見つけたいけど、もう見つからなそうだな……」


私が、初恋を忘れて新しい恋をしてしまったから?

だから、ペンダントは私の元を去ってしまったのかな。


「七海先輩の好きな人って、樹先輩ッスか」

「えっ」

「図星か……わかりやすっ」


クスクスと笑う舵くんは、どこか砕けた感じで、私は拍子抜けしてしまう。


舵くんって、あんな風に笑うんだ……。

なんというか、ツンデレのような子なのかなと思ってたけど……。


「あ、馴れ馴れしくスンマセン」

口調が砕けた事に気づいたのか、舵くんが謝ってくる。

そんな舵くんに首を横に振った。




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