この広い世界で、2度目の初恋を

｢そんなの、辛いだけなのに………っ｣


グッと拳を握りしめて、俯く。

そして、唇を噛んで嗚咽が漏れないように堪えた。


｢七海先輩……｣

｢どうして、好きなんだろう……っ｣


どうして、こんなに好きなんだろう。

樹くんの事を考えると、幸せな気持ちになったり、悲しくなったり……。

振り回されてばかりで、こんなに苦しいなら……。

こんな恋心なんて………。


｢いっそ、忘れられたらいいのに……っ｣

｢七海先輩………辛い、よな……｣


舵くんは、そう言って背中をさすってくれた。

それに、ブワッと涙が溢れた。


｢うぅっ……ありがとう、ごめんねっ｣

｢別に、気にしなくていいし……。俺には、こんな事しかできないから……｣


なぜか、舵くんまで辛そうな顔で私を見つめる。

私、また迷惑かけてる……。

弱いままの自分に、嫌気がさす。


だけど舵くんの手が、それでもいいんだよと慰めてくれているようで、また涙が溢れた。


どんなに否定しても、嫌いになんてなれないし、忘れることさえ出来なくて……。

それでもやっぱり樹くんが好きなんだと、思い知らされた。