この広い世界で、2度目の初恋を
《Side.樹》初恋のお姫様
8歳の夏休みの出来事だ。
親父ととお袋とで遊びに来た川辺で、俺たちはバーベキューをしていた。
「なぁ、親父!!俺、アッチの方行ってくる」
「おー、あんまり離れるなよ」
「分かった!」
俺は川の浅瀬でメダカを捕まえようと網を片手に探検に出る。
すると、視界に、風で飛んだ麦わら帽子が横切った。
それを目で追うと、すぐに麦わら帽子を追いかける栗色の髪の女の子が目に入る。
そして、ポチャンッと川の深そうな場所へ落ちた麦わら帽子。
「あ、あぶねーぞ!!」
まさか、飛び込んだり……なんてな。
だけど、つい声をかける。
ーバシャンッ!!
「え!?」
でも、そのまさかが現実になって、その子は無謀にも、俺の目の前で川に飛び込んだ。