この広い世界で、2度目の初恋を



「ありがとう、王子様」

「……は、はぁ!?」

耳を疑う言葉に、俺は素っ頓狂な声を上げた。

女の子は、そんな俺を見てクスクスと笑うと、俺の掴んでいた手を握り返して、グイグイと引っ張る。


な、なんだ……??

結構、強引な女の子なんだな。


自分が感じていた女の子像とのギャップに驚きながらも、2人で陸に腰掛けて、足だけを川へ浸けた。


「今日はね、お父さんとお母さんと来たの。王子様も?」

おっ……!?

本気で俺のこと、王子様って呼ぶ気か!?


「王子様って…それ、やめてくれよ。まぁ、そーだよ」

「そっか、また会えるかな??」

どこの誰かも分からない女の子。

そして、初対面のこの子に、たぶん一目惚れしてしまった俺。


「はぁ?無理だろ……」

そう言いながらも、もう会えないと思うと、胸がチクチクして、キュッとして、変な感じだ。



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