この広い世界で、2度目の初恋を
無言の攻防をしつつ、私はついに保健室へとたどり着いてしまった。
ーーカラカラカラカラ。
「やぁ、添田さん。いらっしゃい」
保健室の扉を開けると、色素の薄い栗色の柔らかそうな髪を揺らして、鈴原先生が優しい笑顔で軽く手を上げた。
「せ、先生……」
疲れ切った顔で、鈴原先生に声をかけると、私の後ろに宇佐見くんがいる事に目を見張った。
「あれ、珍しいね?添田さんが友達を連れてくるなんて」
「いや、そうじゃなくて……」
「??」
否定する私に、鈴原先生は首を傾げた。
なんと説明すればいいのやら……。
追われてます、助けてくださいなんて……宇佐見くんの前で絶対言えない!!
「保健室??添田、いつもここで飯食ってんのか?」
「そう……だけど」
「ふぅん、ま、いいけど」
何が!?
何がいいのか全然分からない!!
心の中でまたもや宇佐見くんに突っ込む。
当の本人は、スタスタと丸椅子に腰掛けると、購買で買ってきたのか、焼きそばパンを袋から開けてかじり始めた。
じ、自由だ………。
それを呆然と見つめていると、宇佐見くんが、来い来いと手招きしてくる。