この広い世界で、2度目の初恋を


「はい、王子様!」

ニコッと笑って俺にとんぼ玉を差し出す。

大事なものなんじゃないのか……?

俺は、落とさないようにそっと受け取った。


「王子様はやめろよ……。でも、ありがとな!!」


すごい、宝物をもらったような気がした。

だから、一生大事にする、そう決めた。


「ふふっ」


とんぼ玉を手に、笑みを交わす。


やっぱり、可愛らしい笑顔だった。

ふわりと、花のように笑う女の子。

かと思えば、嵐のように元気な女の子。


そんな女の子に、小学3年生の夏、恋をした。

あの子の王子様になら、なってやってもいい。

そう思った、俺の忘れられない初恋。





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