この広い世界で、2度目の初恋を

｢っ……そうかよ……っ｣


樹くんは、そう言ってうつむいた。

震える声で、樹くんが泣いてるのだと気づく。


ツンッと鼻がなり、泣きそうになるのを必死に堪えた。


｢もしかして、あの舵ってヤツとデキたからか…？もう、俺なんて必要が無くなったって…事か？｣


……舵くんがどうしてここで出てくるのかは分からないけど、いっそ勘違いしてもらっていた方がいい。


｢…………｣

｢……そうか、何も言わないって事は、そうなんだな…｣

そして、勘違いした樹くんは、俯いたまま、ゆっくりと立ち上がり、私に背を向けた。

ごめんね、樹くん……。

傷つける事しかできなくて……。

本当は……今も追いかけてすがりたいほど、あなたが好きだよ…。

心が泣いてる……。

それでも、今泣くことは、絶対にだめだ。