この広い世界で、2度目の初恋を


ーズキンッ


ど、どうしようっ……あ、足がつった……!!

こんな時に、足がつって満足に浮くことが出来ない。

そして、最悪なことに足がつかないほど深い場所にいる事に気づいた。

―――ブクブクブク……。


あ………水泡が空へと吸い込まれていく……。

体が、冷たい水の底へと沈んでいく…。


誰か……。

誰か……樹……くん、助け……っ。

たす……け……っ。

息ができなくて、頭がボーッとしてくる。

もう……駄目……かもしれない。

やっと、初恋の王子様に、樹くんに……会えたのに。

ついに、体からフッと力が抜けた。

ーバジャンッ!!

不意に、大きな水の音が聞こえた気がした。


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