この広い世界で、2度目の初恋を
なに……?
閉じかけた思い瞳を少しだけ開く。
たくさんの水泡が視界いっぱいに広がった。
まるで、9年前と同じ……。
そして、水泡が消えると、太陽を背にこちらへ手を伸ばす誰か。
…樹…く……ん??
私は、思い腕を必死に持ち上げて、手を伸ばす。
すると、その手を力強く掴まれた。
そして、体がグイッと引き上げられる。
ーーーバシャァァンッ!!
「………」
明るくなって、私は水の外へ出たんだと、なんとなく分かった。
なのに、体に力が入らない。
ぐったりとしていると、力強い腕に抱かれているのに気づく。
「七海、七海っ!!」
ゆっくりと顔を上げると…。
「頼むっ…返事しろよ!!」
「あ……」
綺麗な黒髪に、澄んだ瞳の男の子。
私を助けてくれたのは、あの頃よりうんと大人っぽくなった、樹くんだった。