この広い世界で、2度目の初恋を


抱き上げられて、プールサイドに優しく横たえられる。

そして、心配そうに私をのぞき込む樹くんの顔が近くに見えた。


「七海っ……七海っ…ごめんな、こんなっ……」

「………あり…が…と」


体に力が入らないけど、私は、なんとか重いまぶたを持ち上げた。


「やっと見つけた……お前があの時の……」

泣きそうな顔で、その存在を確かめるかのように私の頬を撫でる樹くん。


「私の……王子様……?」

「はは……変わらないな、七海っ……」


泣き笑いを浮かべる樹くん。

あぁ、やっぱり樹くんは……私の恋した王子様だ。

この、綺麗で太陽みたいな笑顔に、私は一瞬で恋に落ちたんだから。

嬉しくて、目尻から涙が零れた。


「すぐに気づいてやれなくて、悪かった……」

「私も……気づかなくて、ごめん…ね。こんなに近くに……いたのに…ね…」


どうして気づかなかったんだろう。

こんなに王子様と重なって見えてたのに…。




< 278 / 300 >

この作品をシェア

pagetop