この広い世界で、2度目の初恋を
抱き上げられて、プールサイドに優しく横たえられる。
そして、心配そうに私をのぞき込む樹くんの顔が近くに見えた。
「七海っ……七海っ…ごめんな、こんなっ……」
「………あり…が…と」
体に力が入らないけど、私は、なんとか重いまぶたを持ち上げた。
「やっと見つけた……お前があの時の……」
泣きそうな顔で、その存在を確かめるかのように私の頬を撫でる樹くん。
「私の……王子様……?」
「はは……変わらないな、七海っ……」
泣き笑いを浮かべる樹くん。
あぁ、やっぱり樹くんは……私の恋した王子様だ。
この、綺麗で太陽みたいな笑顔に、私は一瞬で恋に落ちたんだから。
嬉しくて、目尻から涙が零れた。
「すぐに気づいてやれなくて、悪かった……」
「私も……気づかなくて、ごめん…ね。こんなに近くに……いたのに…ね…」
どうして気づかなかったんだろう。
こんなに王子様と重なって見えてたのに…。