この広い世界で、2度目の初恋を
「すぅ……はぁぁっ」
震える吐息をこぼして、そっと教室の扉に手をかける。
すると、その上から宇佐見くんに手を重ねられた。
温かい……不思議、それだけで勇気が出てくる。
「大丈夫だ、俺がいるんだから」
「……うん!」
私は強く頷いて、ついにガラガラガラッと教室の扉を開け放った。
その瞬間に、クラスメートと沖田先生の視線が私達に集まった。
それに、体が凍りついたように固まる。
そんな私の手を引いて、席へと歩き出す宇佐見くん。
「き、君たち急に何ですか!?それに、添田さんはどうしてここに……」
「体調が悪い添田さんを保健室に送ってたんですけど、良くなったみたいなので、授業に戻りました」
何か言いたげな沖田先生の言葉を遮って、ガタンッと席につく宇佐見くん。
私もそれに合わせて席についた。
「生徒が授業を受ける事に、何か文句があるんすか?」
「い、いや……」
「なら、続けて下さいよ。ちゃんとここで聞いてるんで」
「そ、そうですね……で、では教科書54ページを……」
宇佐見くんの威圧感に負けた沖田先生は、何も言わずに授業を再開した。