この広い世界で、2度目の初恋を


「すぅ……はぁぁっ」

震える吐息をこぼして、そっと教室の扉に手をかける。

すると、その上から宇佐見くんに手を重ねられた。

温かい……不思議、それだけで勇気が出てくる。

「大丈夫だ、俺がいるんだから」

「……うん!」

私は強く頷いて、ついにガラガラガラッと教室の扉を開け放った。

その瞬間に、クラスメートと沖田先生の視線が私達に集まった。

それに、体が凍りついたように固まる。

そんな私の手を引いて、席へと歩き出す宇佐見くん。

「き、君たち急に何ですか!?それに、添田さんはどうしてここに……」

「体調が悪い添田さんを保健室に送ってたんですけど、良くなったみたいなので、授業に戻りました」

何か言いたげな沖田先生の言葉を遮って、ガタンッと席につく宇佐見くん。

私もそれに合わせて席についた。

「生徒が授業を受ける事に、何か文句があるんすか?」

「い、いや……」

「なら、続けて下さいよ。ちゃんとここで聞いてるんで」

「そ、そうですね……で、では教科書54ページを……」


宇佐見くんの威圧感に負けた沖田先生は、何も言わずに授業を再開した。


< 40 / 300 >

この作品をシェア

pagetop