この広い世界で、2度目の初恋を
声を聞きたくて…
次の日の朝、登校してきた私は、机の上でかばんを漁る。
「はよ、添田」
一限目の英語の教科書を取り出していると、後からやってきた宇佐見くんが声をかけてきた。
「お、おはよう宇佐見くん」
今だに、クラスで誰かに挨拶をする事に慣れない。
なんせ、クラスメートとは1年単位くらいで、会話をしてこなかったから。
「おーい樹、便所行こうぜー!!」
「はぁ!?連れションかよ!!」
宇佐見くんを教室の扉の所から呼ぶ男子生徒に、呆れたような声で返事をしながら、宇佐見くんは私に視線を戻す。
「ちょっと行ってくる」
「あ、うん……」
宇佐見くんはなぜか、どこかへ行くたびに私に断りを入れてくるようになった。
それが、どんな時でも見守ってくれているような気がして、嬉しかった。
教室を出ていく宇佐見くんを見送っていると、教室の女子達が私を見ている事に気づく。