この広い世界で、2度目の初恋を
「ビッチのくせに、樹くんと話してるなんて……わきまえろよ」
「身分差考えろってーの」
ヒソヒソと私を悪く言う声に、クスクス笑う声。
悪口を言うのはもちろん、派手なグループの女子たち。
その中心にはまた三枝 美咲がいる。
また三枝 美咲……。
それにしても、身分差って……。
「はは……」
私は小さく笑みをこぼした。
宇佐見くん、宇佐見くんはどうやらどこぞの王子様か、はたまた貴族なのか、身分差があるらしいよ。
心の中で今はいない宇佐見くんに声をかける。
女子って、色濃い沙汰になるとなお怖いから、嫌になる。
でも、宇佐見くんは人気者だし、なおさら私が気に食わないんだろうな…。
それはしょうがない事だよね……。
その視線に気づかないふりをして、私は席についた。
すると、しばらくして宇佐見くんが教室に戻ってくる。
「樹、罰ゲームの事忘れたのかよ」
「うっせー、興味ねーよ」
宇佐見くんはガタッと隣に腰掛けて、私の方を見た。
「大丈夫だったか?」
「え、あ……うん……」
「ならいい」
宇佐見くんはホッとしたように笑う。
そんな宇佐見くんに心が温かくなりながらも、困ったように笑みを返した。