この広い世界で、2度目の初恋を
それは、女子トイレに入った瞬間に起きた。
バッシャァァーーン!!
「え………」
顔面に直撃した水。
髪からポタポタと滴り落ちる雫と、ピッタリ肌にくっつくワイシャツの気持ち悪さ。
「キャハハッ、大成功〜っ!!」
突然、私に起きた出来事に合わないほど、甲高い楽しげな声。
顔を上げると、腕を組んで私を笑う三枝 美咲がいた。
「濡れネズミじゃん!!」
「ドブネズミの間違いでしょ!!」
「「「キャハハッ!!」」」
ずぶ濡れの私を笑うクラスの女子。
ざっと5、6人くらいいるんじゃないかな。
私はまたかと無言でハンカチを取り出して、顔を拭いた。
こういうのは、反応した方の負けだって、長年イジメられていた経験から学んだ。
最近はこういうの落ち着いてたんだけどな……。
たぶん、宇佐見くんと話してるからだ。
そんな事を冷静に考えながら、バケツを手に持つ女子をチラッと見る。
「なによ、文句あるわけ?」
バケツを持った女子が私を睨みつける。
そういえば……。
私はふと、宇佐見くんの言葉を思い出した。