この広い世界で、2度目の初恋を
「「「キャァァァッ!!」」」
トイレからたくさんの悲鳴が上がった。
その悲鳴を背に私はそのまま保健室へと直行する。
もちろん、着替えを借りる為だ。
ーカラカラカラ……。
「あれ、添田さん??また随分と派手にやられたね」
びしょ濡れの私を迎え入れてくれたのは、鈴原先生だった。
いつもの事だからか、鈴原先生は動揺せずに、タオルを差し出す。
それを受け取って、一番被害の強い髪を拭いた。
「ハハ……今回はやり返して来ました」
そう言って笑うと、棚からジャージを取り出していた鈴原先生が、驚いたように私を振り返る。
「へぇ、どんな心境の変化かな、それは」
「うーん……私がイジメられると、むしゃくしゃしちゃう人がいるから……ですね」
「そう……それは、良い変化だね」
鈴原先生は、ジャージを手に私に近づくと、着替えを促すように衝立を用意した。