この広い世界で、2度目の初恋を
Chapter1

隣の席の宇佐見くん



「うわぁー、来たよビッチ女」

「教師食い荒らすとか、気持ち悪いんですけど」


「オイオイ聞こえんぞ!!うっかり俺たちも喰われるかも!!」

「ギャハハハッ!!」


たくさんの好奇の視線と噂話。

高校2年生の春、クラス替えしても途切れない噂に嫌気が差していた。

「……………」


私は、無言で悪口を言う生徒の横を横切り、自分の席へと腰掛けた。
 
そして、いつものように読書を始める。

本を読んでいる間は、周りの鬱陶しい声も、少しは気にならなくなるから。

私、添田 七海(そえだ ななみ)にはビッチやら教師を食い荒らすやらの噂が付き纏う。

これは、私が高校1年生の時に好きになったのが数学教師だった事が原因だった。

『七海、数学の沖田のどこが良いわけー??』

『生徒に熱心なとこかな』

あの頃は私にも普通に友達がいた。

私は、初恋は初恋でしかないと、次の恋に進んで、数学教師の沖田 和(おきた かず)先生に片想いしていた。


『だって、沖田三十路じゃん!!』

『年齢とかどうでもいいよ、好きなんだもん』

好きという気持ちを、世間帯とか、年齢とか、そんなので抑えたり出来ない。

それが、恋なんじゃないのかな。

そう思って疑わなかった。

私が、まだ恋に真っ直ぐで、純粋だった時の話だけれど。


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