この広い世界で、2度目の初恋を
Chapter2
変わっていく距離感
「おはよー」
「おはよ!昨日のドラマ見た!?」
「あーみたみた!!」
宇佐見くんと電話した次の日。
ガヤガヤとする朝の下駄箱で、私は誰とも会話せずに外靴から上履きに履き替える。
踵を入れようと、床にトントンとつま先をついていると、「よう」と声をかけられた。
「えっ……」
振り向くと、宇佐見くんが片手を上げて私に笑みを向けている。
あ……宇佐見くんだ。
ホッとして、笑みを返した。
「おはよ、添田」
「お、おはよう……宇佐見くん」
私たちは肩を揃えて、靴を履き替える。
先に履き終わった私は、なんとなく宇佐見くんが 履き替えるの待った。
「わり、待たせた」
「ううん、待ってないよ」
「そうか……」
私たちは同時に教室へと歩き出す。
何でだろう……。
昨日はたくさん話せたのに、宇佐見くんの目を見れない。
胸が、ドキドキして苦しいんだ。
宇佐見くんも話しかけたりしてこないから、無言で廊下を歩く。