この広い世界で、2度目の初恋を
「おーい樹!!今日帰りに合コンやんだけどさー」
「キョーミねーから」
そうだ、宇佐見 樹(うさみ いつき)。
「今日も樹くんカッコイイね」
「うんうん!!あのクールな感じ、最高!」
クラスの人気者だけど、とても威圧感があって、どちらかというと女の子達も遠目に眺めている感じだ。
「そんな事言わずにさぁ〜」
「あ"?無理だよ」
「ケチ!!」
「言ってろ」
宇佐見くんは面倒くさそうに頬杖をついて、スマホをいじりだす。
私も、さほど気にすることなく、本に視線を戻した。
「なぁ、宇佐見!!」
「あ??」
「これから面白いゲームすっから、お前も来いよ」
「面倒くせー……嫌な予感しかしないんだけど?」
「まぁ、強制参加だから!」
「チッ」
舌打ちしながらも、宇佐見くんは男子たちに連れて行かれる。
その後、じゃんけんみたいのをしているのが見えた。
私には関係ない事だよ……。
そう思って、また視線を本へと戻す。
宇佐見くんが席に戻って来たのは、授業開始のチャイムと同時だった。