この広い世界で、2度目の初恋を
「恋も報われて、先生と秘密で付き合うことになったけど……ある時、他の先生に見つかっちゃってね。その時先生はなんて言ったと思う?」
「何て言ったんだ?」
「私が勝手に先生に言い寄ったって、そう……言ったの」
「!!」
宇佐見くんは、言葉を失っていた。
私は、気を遣わせないように、あくまで明るく話す。
「ははっ……先生にとっては、簡単に切り捨てられる存在だったってだけの事。いい学びになったんじゃないかな」
「………もういい、笑うな」
「え……?」
宇佐見くんが、そう言って急に足を止めた。
そんな宇佐見くんを、私は数歩先で振り返る。
「辛いのに、笑うな」
「………もう、辛いのは通り過ぎたよ。今あるのは、私って馬鹿な女だなって自分に呆れてる気持ち」
「……辛い気持ちなんて、簡単に消えねぇよ」
「え……」
心臓が、ドキンッと、鳴る。
いつものドキドキとは違う、見透かされそうで緊張した胸の震えだった。