この広い世界で、2度目の初恋を


「ありがとう……その気持ちが、すごく嬉しい」

「嬉しい……?」

「うん」

「怒ってねーのかよ、文句言いたくなったりしねーの?」


怒らない私に不満げな宇佐見くん。

私は、そんな宇佐見くんに笑いかけた。


「私の分まで、宇佐見くんが怒ってくれたから…十分だよ」

「………本当、添田は良い子すぎんだよ。そんな添田が……」

「え……?」


私は宇佐見くんと向き合って立つ。

あ……宇佐見くんの瞳って、吸い込まれそうなくらいに澄んでて、綺麗…。

隣の席の宇佐見くんの目を、こんなにまっすぐ見つめたのはこれが初めてかも知れない。


『あ、あっぶねーじゃん!!』

そういえば……。

小さい時、私を川から引き上げてくれた男の子も、宇佐見くんみたいな綺麗な黒髪に、澄んだ瞳をしてたな…。

どうしてこのタイミングで王子様の事を思い出すのか、不思議だけど…。

宇佐見くんに出会ってからかもしれない。


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