この広い世界で、2度目の初恋を


「ふふ……」

王子様の事を思い出して、つい笑ってしまう。

すると、宇佐見くんは不思議そうに軽く首を傾げた。


「な、なんだよ……?」

「ううん、初恋の王子様を思い出しちゃって……」

「なんで今??その王子様ってどんなヤツだったんだ?」


私たちはなんとなくまた歩み始める。

初恋の話をするのって、なんだか恥ずかしいな…。


「どんな人なのかは、たぶん記憶の中のあの子と今じゃ変わってるから分からないけど……」


なんせ、8歳の頃の記憶だ。

あの子が何歳だったかは分からないけど、私と同じくらいに見えた。

そしたら、少なからず成長してるはずだし…。

私は視線をコンクリートに移してポツリ、ポツリと話し出す。

「あの子??」

「うん、小さい時に好きになった人だったから…」

「へぇ、どこで出会ったんだ?」

「川、両親とバーベキューに来てた時に」


すると、宇佐見くんはなぜか驚いたような、慌てたような顔で私を見つめる。



  
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