この広い世界で、2度目の初恋を
「………へぇ、そんな偶然あんのか」
「え??」
「あ、いや何でもねー。続けて」
そして、謎な言葉を残して、首をブンブンと横に振った。
「その時に、溺れた私を助けてくれて……」
「よく見ると、髪の色とか、くりくりした目の感じとか、笑った顔が似てなくも…無い…な」
宇佐見くんの様子がおかしい…ような気がするのは気のせい?
「宇佐見くん、私の話聞いてる?」
「あ、わ、悪い……なんの話だっけ」
「もー、王子様なんて馬鹿にしてるんでしょう?ふふっ、まぁ……本当に自分でも馬鹿だなぁって思うよ」
私は笑いながら宇佐見くんを振り返る。
「いいんじゃね?簡単に忘れられるならとっくに忘れてるし、それだけその王子様は添田にとって特別って事だろ」
「宇佐見くん……うん、ありがとう」
笑わないで聞いてくれた。
そう、私にとって王子様は特別な存在。
姿がなくても、この胸の中にちゃんといて、私に忘れかけた恋の素晴らしさを教えてくれるの。