この広い世界で、2度目の初恋を
「オーイ、添田聞いてんのかー?」
「あっ…ご、こめん。いると思うよ、前に七星と行った水族館にもいたから」
「へぇ、いるんだな、知らなかったわ。んじゃ、水族館に決定な」
宇佐見くんはそう言って七星の頭をガシガシと撫でた。
「やったー!!」
「七星、ありがとうは?」
両手を上げてはしゃぐ七星の頭を、ポンッと撫でた。
すると、七星はコクンッと頷いて、宇佐見くんにまんべんの笑みを向ける。
「樹お兄ちゃん、ありがとう!!」
「俺もありがとな、明日楽しみだな」
「うんっ!!」
笑う七星に、宇佐見くんも笑みを返した。
「宇佐見くん」
そんな宇佐見くんに、腰を屈めて顔を近づける。
ハラリと髪が視界を遮り、それを耳にかける。
「そ、添田?」
距離が近いせいか、宇佐見くんは驚いたような、焦ったような顔で軽くのけぞった。
「ご、ごめんね、近すぎたよね」
私は慌てて宇佐見くんから離れる。
そして、改めて距離の近さに恥ずかしくなった。
「あ、あのね……本当にありがとうね」
私は恥ずかしさを悟られないよう、慌てて伝えようと思っていたことを伝える。